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エネルギー大臣、カプサルクにおいて中東初となる直接空気回収(DAC)装置の運転開始を発表

エネルギー大臣、カプサルクにおいて中東初となる直接空気回収(DAC)装置の運転開始を発表
Local News
2025-07-27

サウジアラビア王国のアブドルアジーズ・ビン・サルマーン・ビン・アブドルアズィーズ・エネルギー大臣殿下は、リヤドに所在する「キング・アブドゥッラー石油研究センター(KAPSARC)」において、直接空気回収(Direct Air Capture, DAC)技術を用いた中東初の炭素回収ユニットの試験運転開始を発表した。本ユニットは、スイスの企業Climeworks社との提携の下、同センター内に設置されたものである。

本モバイル回収装置はすでに稼働を開始しており、大気中から二酸化炭素を直接回収している。このことは、同技術が高温かつ乾燥した気候条件においても有効であることを実証するものである。

本取り組みは、サウジアラビア王国が掲げる「炭素循環型経済(CCE)」の実現に向けた先駆的な役割を明確に示すとともに、「サウジ・ビジョン2030」および国家気候戦略に沿った、空気からの炭素回収技術の適用を通じた気候目標達成への王国の強い意志を反映するものである。

このユニットの稼働は、特に直接空気回収分野における炭素循環型技術の開発を支援するうえで重要な一歩となる。今回のプロジェクトは、アイスランドのような冷涼な地域で一般的に運用されている同様のシステムとは異なり、過酷な気候と高温条件下での有効性を評価することを目的としており、今後、王国内の他地域や世界中の同様な環境下での展開可能性に関する重要な知見を提供する。

また、KAPSARC施設内にユニットを設置することは、同センターが王国のエネルギー政策における有力なシンクタンクであり、国家的な気候戦略および炭素管理政策の策定・実施に貢献する主要機関であることを示している。KAPSARCは、炭素回収、技術・経済モデル構築、気候政策分析等において豊富な専門知識を有し、本プロジェクトにおける理想的なパートナーである。

これらの基盤により、王国は産業規模での炭素除去技術を、費用対効果を確保しつつ主導する体制を整えており、長期的な気候目標の実現に向けた貢献を強化している。

今回の装置導入は、2024年12月に開催された「グリーン・サウジ・イニシアティブ・フォーラム」において締結された覚書に基づく広範なフィージビリティスタディの一環として実施されたものであり、王国における炭素回収技術の普及拡大、およびカーボンニュートラル達成への貢献を目的としている。

本パートナーシップは、王国が有する再生可能エネルギー資源の豊富さ、世界水準のインフラ、戦略的立地を活用することで、空気からの炭素回収技術の産業化・低コスト化を推進し、当該分野におけるグローバルリーダーとしての地位を確立することが可能であることを示している。

加えて、本技術の成功は、炭素管理技術の高度化に資する新たなソリューションの開発に取り組む王国の戦略的意志を反映するものである。

サウジアラビアは、2035年までに年間4,400万トンの二酸化炭素を回収・再利用・貯留(CCUS)することを目標に掲げており、東部および西部の両地域において大規模なCCUS中核拠点の整備を進めている。

こうした拠点は、産業活動から排出される二酸化炭素を集約し、それを高付加価値製品へと転換することで、王国の経済多角化と産業イノベーションを力強く後押しするものである。

また、直接空気回収技術の研究は、基幹部材および構成要素の現地化可能性の評価を継続しており、サプライチェーンの国産化を促進する一助ともなる。これにより、排出削減に資する先進技術の普及が進み、同時に産業イノベーションおよび経済の多様化が一層強化されることが期待される。

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